28.安良里(あらりく)不動尊(ふどうそん)

               




(はなし)場所(ばしょ) ・・・  賀茂村(かもむら)







 (いま)からおよそ八百年もむかしのお(はなし)です。

その(ころ)、 (きょう)(みやこ)文覚上人(ぶんがくしょうにん)という、

えらいお(ぼう)さんがいました。
  このお(ぼう)さんは、不動明王(ふどうみょうおう)を、(あつ)信仰(しんこう)していらっしゃいました。

 (たび)()かける(とき)も、どこかのお(てら)()くときも、

 (かなら)ず、不動尊(ふどうそん)尊像(そんぞう)()っていらっしゃいました。
  ある(とき)、お(ぼう)さんは、伊勢(いせ)(いま)の(和歌山県(わかやまけん))の津市(つし)から、船出(ふなで)をして、

 伊豆(いず)(くに)(わた)ることになりました。

 遠州灘(えんしゅうなだ)にさしかかったとき、(きゅう)大風(おおかぜ)()()し、

 (なみ)があれくるい、 (いま)にも(ふね)が、(しず)みそうになりました。
  (とも)のものは、あわてふためきました。

 おさ(ぼう)んは、船底(ふなぞこ)(たか)いびきをかいて()ていましたが、

 あぶないと(おも)(ふね)(うえ)にあがってきました
   そして、いつも()っている不動尊(ふどうそん)船舳(ふなばた)におき、 

 「竜王(りゅうおう)やある、 竜王(りゅうおう)やある。」

 と、大音声(だいおんじょう)をはりあげ、一心(いっしん)ふらんに、(おが)みました。 

 そして、 

 「大願(たいがん)()(ひじり)(ふね)(あやま)たうとするや。」 と、

 お(きょう)一心(いっしん)(となえ)(つづ)けました。
  するとどうしたことでしょう。

 (いま)まで、(あれ)れくるっていた波風(なみかぜ)が、

 (おと)もなく(しず)かにおさまったではありませんか。

 こうして、お(ぼう)さんをのせた(ふね)は、

 無事(ぶじ)伊豆(いず)(くに)矢木沢(やぎさわ)浜辺(hまべ)()くことができました。
   それから、(なが)年月(ねんげつ)がたちました。 

 ある(あさ)のことです。

 安良里(あらり)(はま)のおじいさんの夢枕(ゆめまくら)に、 

 不動尊(ふどうそん)姿(すがた)をあらわしました。

 「わたしは、安良里(あらり)(さと)に、うつりたいのだ。」

 と、おねがいするように()いました。
   そこで、安良里(あらり)漁師(りょうし)たちは、矢木沢(やぎさわ)村人(むらびと)にそのことをくわしく(はなし)しました。

 矢木沢(やぎさわ)村人(むらびと)は、不動尊(ふどうそん)のお()げならやむを()ないということで、うつすことにしました
  安良里(あらり)漁師(りょうし)たちは、おじいさんと相談(そうだん)して(もり)不動尊(ふどうそん)をお(まつり)りしました。

 それから、安良里(あらり)(みなと)には、たくさんの(さかな)があがるようになり、(むら)はだんだん(さか)えたということです。
安良里(あらり)(みなと)
不動明王(ふどうみょうおう)さん
不動明王(ふどうみょうおう)さん
大聖寺(たいせいじ)

  

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